介護保険は誰のための制度なのか
――上野千鶴子さんの講義を聞いて
2月28日(土)、
FIFTYS PROJECTゼミ主催による
上野千鶴子さんの講義「どうなる介護保険?」を聞きました。
参加者は20~30代の女性が多く、
上野さんはまず、介護保険の基本から丁寧に説明してくださいました。

介護保険の仕組みを、私はほとんど知らなかった
介護保険は40歳から保険料の支払いが始まります。
65歳以上になると、介護サービスを利用できる仕組みです。
在宅訪問介護や施設サービスだけでなく、
自宅に手すりをつけるなどのバリアフリー改修にも補助が出ることを、私は今回初めて知りました。
しかし、その制度を支えている介護労働の現場は、今とても厳しい状況にあります。
介護は「社会化」されたのに、なぜ低賃金なのか
かつて介護は、家庭の中で、主に女性が担ってきました。
介護保険制度が始まり、介護は「社会の仕事」になったはずでした。
けれど、介護労働の賃金は低いまま。
この構造を、上野さんは「公的家父長制の調整」と説明されました。
家庭内で無償で担われていたケア労働が、
社会化された後も、依然として低く評価され続けている。
樋口恵子さんはこれを
「家の嫁から社会の嫁へ」
と表現されたそうです。
その言葉に、私は強くうなずいてしまいました。
介護現場の過酷な実態
訪問介護では、
夏でもエアコンをつけない高齢者宅が少なくないそうです。
暑さに鈍感であったり、電気代を気にされたりするためです。
その中で働くヘルパーさんたちの負担は大きい。
さらに、訪問介護の時間は
1時間単位から、20分・45分と細切れになりました。
移動時間や報告書作成の時間は賃金に含まれません。
ある調査では、
実働時間で割ると最低賃金を下回るという結果も出たそうです。
それに加え、国は介護報酬を引き下げました。
一方で、世田谷区、杉並区、品川区など、
自治体が独自に報酬を上乗せし、介護を支えようとする動きもあると聞きました。
「介護保険は高齢者のため」ではなかった
今回のお話で、私の認識は大きく変わりました。
介護保険は高齢者のための制度、
そう思っていました。
けれど上野さんは、
介護保険は、高齢者を支える家族を守る制度である
とおっしゃいました。
実際、参加者の中には、
50代で転倒し、突然介護が必要になった家族の話をしてくださった方もいました。
介護は、遠い未来の話ではありません。
いつ、誰に降りかかるか分からない。
そう実感しました。
「危うい制度」を守れるのは誰か
今、その介護保険制度が危うい状況にあると聞きました。
国の政策は遠く感じます。
声が届きにくいと感じることもあります。
けれど、自治体レベルでできることもある。
実際に動いている自治体もある。
その事実を知り、
私は「守ってもらう側」ではなく、
守るために声を上げる一人でありたい
と思いました。
最初はどこか他人事のような気持ちで参加した講義でしたが、
今は当事者として受け止めています。
貴重な機会に、心から感謝しています。
